Google map 航空写真より

比屋根湿地は、沖縄市の県総合運動公園北側に位置する面積約2haの湿地です。湿地の東側は県道227号線を挟んで海に面しており、湿地内は海水と淡水が混ざった汽水域となっています。北側と西側は市街地となっており、街中のオアシスのような場所です。
この湿地は自然にできたものではなく、昭和62年の海邦国体のための市道整備(海と湿地を分けている道路)の結果、水の流出の少ない海域となり、現在の環境になったと考えられているそうです。
その市道整備により、市街地からの生活排水を含んだ汚水が堆積して水質が悪化したため、県の事業として湿地の改善整備が行われました。
その結果、上記画像のように湿地を南北に分けて、北側を浄化池、南側をマングローブ林の繁茂する水路となりました。湿地西側の市街地から生活排水が流れこんできますが、湿地中央に堤防があるため南側には流れ込まず、礫を敷き詰めたろ過護岸により汚染を軽減した水が、北側の浄化池に流れるようになってます。
詳しい解説はこちら
沖縄市 東部海浜開発局湿地中央部

右手側の砂利道が堤防代わりになっていて、汚水をせき止めています。
ろ過護岸

このように礫が敷き詰められており、ここで汚水をろ過しています。
湿地北側

広いため池になっています。中央には陸地が作られていて、冬場にはカモ類が上陸する姿が見られます。
湿地南側

陸地部分を曲がりくねった水路が通っていて、潮の干満によって海水の流出入があります。ヒルギの生育に適した環境のため、このように密なマングローブ林を形成しています。
<オヒルギ>

優位に繁茂していたオヒルギの枝先。赤くぶら下がっているのが花のがくで、がくのなかに花をつけます。花はほとんど終わっており、これから緑色の細長い棒状の種子をつけます。
マングローブとはこのヒルギ科に代表されるような、海岸や河口といった汽水域の湿地帯に生育する植物群落のことで、マングローブという名前の植物があるわけではありません。マングローブの植物は湿地や干潟という厳しい環境で生存するために、さまざまな特徴をもっています。
マングローブ:wikipediaオヒルギの根

ヒルギ科の植物は、このようにひげ状に分岐した多数の根を張ります。これを支柱根といいます。支柱根は、湿地や干潟などの泥質でも安定するために、幹の根本から大きく広がります。複雑に入り組んだ構造になっていますが、この根の隙間などをすみかに多くの生き物が暮らしています。
支柱根の他に、地表から飛び出して呼吸をするための呼吸根というものをもちます。
一般の植物は地中にある根も呼吸を行いますが、湿地のように水に満たされている場合はそれができません。そのため、根の一部を地表上に出して呼吸をしています。
比屋根湿地の生き物たち
<トビハゼ>

湿地や干潟でよく見られるハゼの一種です。普通の魚と違い、皮膚呼吸の能力が高いため、長い時間地上に出ていられます。有名なムツゴロウも同じ仲間です。
<ティラピア>

市街地からの水が流れこむところにはティラピアの群れがいました。ティラピアはアフリカ原産の外来種で、淡水魚なのですが汽水域にも適応します。水質汚濁にも強く、沖縄では急速に分布を拡大しているため、
外来生物法による要注意生物リストにピックアップされています。
カニたち

干潟に出て食事をしていました。こちらの存在に気が付くと、一斉に岩陰に逃げ込みます。
<コサギ>

野鳥の姿は少なかったですが、サギ類は数羽見られました。冬になると多くのカモ類が飛来します。
<ヒヨドリ>

マングローブの樹上には普通の野鳥も見られます。画像はさえずるヒヨドリです。よく見ると右脚に識別環がついています。ヒヨドリも調査の対象になっているのでしょうか。
最後に・・・

かわいいシーサーを見つけたので1枚。
中央分離帯の一部分に使われていました。
運転中に見かけたらなごみますねー。いいアイディア!
続きをたたむ