3Way雲台グランドマスター


ギア雲台とも比較して

上から見るとギア雲台は省サイズ
この3Way雲台がダメダメだったわけではありません。むしろ作りはよく高精度。水準器も付いていて、パン棒は取り外し可。通常の使用での不満はクイックリリースプレート式でないところくらいです。ただ、星雲、星団を撮るための超望遠・長時間露光をするには少しばかり弱かった。
3Way雲台は構造上、パン棒を回して締め付けることにより固定しますが、相当な力で締め付けないと、どうしても超望遠・長時間露光ではゆるみで動いたりブレたりしてしまいました。ほんのわずかですが。特に、天頂の星を撮るために真上にレンズを向けると、全く重心のバランスが取れないので、ブレなく撮るのは難しいです。
また、超望遠では星の日周運動をじかに感じます。換算450mmの望遠だと、目的の天体を中心に据えても、ものの数分後にはフレームアウトします。そうなるとその天体をまたフレーム内に収めるために、キチキチに締め上げたパン棒を再び緩め、天体を見失わないように慎重にフレーム内に入れ、またキチキチに締め上げないといけません。辛いんだこれが。何度も思い切り握りしめるため、手の平は痛くなるし、固定時に構図は微妙にズレるし、緩める際にガッと大きく動かしてしまって天体を見失うことも。派手な天体ならいいですが、淡くてわかりづらい天体はまた探すところから始めなければならず、捉えるのは至難の業。これが大きなストレスに。

DA★300mmでの流し撮りの例。換算450mmでは10秒程度でこれだけ星は動きます。
そんな悩みから、超望遠レンズを乗っけても絶対にブレず、天体を追いかけるために”微動”ができる雲台を求めました。そこで見つけたのがマンフロットのギア雲台。

K-5Ⅱs + DA★300mmを載せても、抜群の安定感
前置きが長くなりましたが、ここから
ギア雲台410について。
ギア雲台といってるからには当たり前ですが、ギアが内蔵されていてそれを噛み合わせて稼働します。強力なバネが仕込まれているので固定のために締め付ける必要はなく、好きな場所まで動かして手を離せば、その時点でしっかりと止まります。この固定力が素晴らしく、全くもってブレない!微動だにしないです。1.2kgとズシリとくる重さですが、その分作りはいい。アルミニウムの本体は剛性が高く、ギアの動きも滑らかでクリック感はありません。
ちなみにこの製品は正確にはギア付きジュニア雲台410で、上にはさらに大きく、重く、そしてお高くなった
プロ雲台405があります。さらに剛性は高くなっているようですが、この410もジュニアといいながら、十分すぎるほどよくできています。
ギア操作
ギアの動作はスムーズでクリック感はありません。感覚としてはヌルヌル。そして手を放したところでピタリと止まります。これだけの精度で微動できるので、超望遠でも天体を楽にフレーム内に収められます。大きく動かすにはギアをフリーにする、車で言えば”クラッチを切る”ことによって自由に動かすことができます。可動域は目盛りが振られていますが、それをやや超える位置まで可動はできます。
つまみが固いという意見もありますが、それは精度、固定力とのトレードオフ。三脚、雲台を使うのはブレなく被写体を撮るため。軽く動かせる代わりにヤワでブレブレなんていうんじゃ話になりません。言うほど固くはないのでご心配なく。

可動域のイメージ。天頂なんてかなり無理のあるアングルですが、これでもピタッと止まります。スゴい!
3Way動作
そのギアが3個仕込まれており、3Way雲台を操作するときのようにパン、ティルト、そして水平方向に動作できます。おおまかな方角に素早く、とはいきませんが、厳密なフレーミングにはもってこい。
またテレビの音声が入っています。申し訳ありません。
ギア雲台410にはカメラ交換に便利なクイックリリースプレートが装備されます。クイックリリースはブレの原因になると、クイックシューレス化する方も少なくないですが、これに関してはブレとは無縁。ばねの力が強~烈なので、ブレ?なにそれ状態。ジュニア雲台といいながら、全体的に”強い”んですよほんと。ブレの心配はしてないので、利便性をとってそのまま使用しています。
カメラ脱落防止のために、プレートのロックレバーも引いただけでは外れません。引いた後にポッチを押してさらに引くことで外れる仕組みになっています。使い勝手もよし。
3/8インチねじ

注意するポイントとして、三脚への取り付けには3/8インチのねじが必要。三脚側をあらかじめ確認しておくといいでしょう。大抵備えてるとは思いますが。スリックSC703DXは3/8、1/4インチ両対応でした。
----------天体作例----------------------------------------
ブログにてすでにアップした写真ですが、天体の作例を。
使用機材
カメラ:K-5Ⅱs
レンズ:DA★300mm F4
アクセサリー:O-GPS1
三脚:SLIK SC 703 DX 3段
雲台:Manfrotto ギア雲台410
オリオン大星雲

F値:4 露光時間:15秒 ISO感度:4000
アンドロメダ銀河

F値:4 露光時間:10秒 ISO感度:6400
プレアデス星団

F値:4 露光時間:15秒 ISO感度:6400
オリオン座三つ星付近

F値:4.5 露光時間:20秒 ISO感度:2000
干潟星雲

F値:4 露光時間:30秒 ISO感度:2500
こんなところです。天体撮影においてのギア雲台の真骨頂は望遠。広角は3Way雲台で十分撮れるので割愛します。
星の追従はペンタックスO-GPS1の機能、『アストロトレーサー』によるものです。
アストロトレーサーについての記事はこちら→
【O-GPS1】アストロトレーサーを使った天体撮影方法この雲台を使った結果、ブレ写真は大幅に少なくなりました。天体の導入も圧倒的に楽に。
スリック三脚との組み合わせはやや重いですが、”ブレない”という目的のためには重さもひとつの性能。むしろこの程度のサイズ、重量でこれだけ撮れれば満足です。この価格ながら高剛性、高精度。さらに上のクラスの405もありますが、一眼レフの望遠レンズくらいならこの410で十分。腰を据えてじっくりと撮る被写体にはおすすめです。
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